はじめに
1995年に放送された『新機動戦記ガンダムW』は、地球と宇宙コロニー間の戦乱を描いた人気作。その続編にあたる『Endless Waltz(エンドレス・ワルツ)』は、OVAとして1997年に制作され、翌1998年に劇場公開用に再編集されたのが「特別篇」です。今回は、この劇場版のストーリー内容や見どころを、初心者にも分かりやすくまとめていきます。
Endless Waltz特別篇とは?
『Endless Waltz 特別篇』は、OVA全3話を再構成し、追加シーンや新作カットを盛り込んだ劇場版。上映時間は約90分で、OVAでは描かれなかった描写が加わり、作品全体の完成度を高めた集大成的な内容となっています。
特に、ガンダム5機の大胆なリデザインや、追加された戦後のエピローグ描写など、劇場版ならではの魅力が詰まっています。
物語の舞台設定
時代は「A.C.196年」。長きにわたる戦乱が終わり、地球圏統一国家(ESUN)が成立。平和の象徴として、戦いの象徴であったモビルスーツやガンダムは廃棄されることになりました。
ガンダムパイロットたちは役目を終えた自らの機体を、太陽へ射出することで完全に消し去ろうとします。物語は、この“ガンダム廃棄”を背景に、再び訪れる戦乱の予兆から始まります。
あらすじ
反乱の勃発
平和が訪れたかに見えた矢先、元OZ総帥トレーズ・クシュリナーダの娘を名乗る少女、マリーメイア・クシュリナーダが率いる勢力が反乱を起こします。彼女は祖父デキム・バートンの操り人形であり、真の「オペレーション・メテオ」を実行しようとしていました。
その過程で、地球統一国家の副外務大臣となっていたリリーナ・ドーリアンが拉致されます。
ガンダムパイロットたちの決断
ヒイロ・ユイ、デュオ・マックスウェル、トロワ・バートン、カトル・ラバーバ・ウィナーは、再び戦乱の中に身を投じる決断をします。すでにガンダムを廃棄しようとしていた彼らは、カトルの尽力により衛星から機体を回収し、再び戦場へと舞い戻るのです。
一方、張五飛(ウーフェイ)は一時的に敵側に与し、かつての仲間たちと相対します。彼の信念と行動は、物語に深いテーマ性を与えています。
終幕と平和の象徴
最終的にデキムは部下の裏切りによって倒れ、戦いは命を奪うことなく終結。反乱は失敗に終わります。
戦いの後、ガンダムを含むすべてのモビルスーツは完全に廃棄され、二度と人類の前に姿を現さないことが宣言されます。これは「武力を持たない真の平和」を象徴するエンディングとなっています。
劇場版ならではの追加要素
- 新規作画・追加シーン
- OVAにはなかった戦後のエピローグシーン
- 救出シーンの強化、マリーメイア軍との戦闘描写の追加
- ガンダムのリデザイン
- カトキハジメによる新デザインが採用され、ウイングゼロの“翼”など劇場版を象徴するビジュアルとなった。
- 音楽の刷新
- OVA版主題歌「WHITE REFLECTION」に加え、劇場版ではTWO-MIXによる「LAST IMPRESSION」が起用され、作品のラストを彩りました。
テーマとメッセージ
『Endless Waltz』が伝えるメッセージは、「戦争のない世界を築くために、武器を完全に捨てる覚悟が必要だ」という強いテーマ性です。
特に印象的なのは、五飛の存在。彼は「武力は必要か否か」という疑問を突きつけ、ヒイロたちに答えを導き出させます。単なるロボットアクションではなく、戦争と平和、理想と現実を深く考えさせる作品です。
見どころ
- ウイングゼロの翼が舞う美麗作画
- リリーナとヒイロの関係性の進展
- マリーメイア軍と旧勢力の野望の崩壊
- ラストで描かれる完全な武力放棄という決断
特に、ウイングゼロの翼を広げるシーンはガンダム史上屈指の名カットとして知られ、現在でもファンから高い評価を受けています。
まとめ
『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 特別篇』は、OVAを劇場版に再構成し、映像美・テーマ性・キャラクター描写をさらに高めた完成形ともいえる作品です。
戦乱の時代を戦い抜いた若きパイロットたちが「武器を捨てる覚悟」を示すことで、物語はガンダムシリーズの中でも特異な“平和への結末”を描き切っています。
ガンダムファンはもちろん、初めてシリーズに触れる人にもおすすめできる一本です。